すみれ色ハイウェイ

元バス屋で高速バス好き写真家の活動誌

New Bus Generation "GUSSURI"

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00年代中頃から、運賃の安さを売りにする新規参入のバスが多数出現したことで、高速バスは安く移動するための交通手段であるというイメージがすっかり定着していました。そんな時代が10年くらい続いた2017年、両備グループが「バス業界はここまでできるんだ」(副社長談)と送り出したのが、日本初の全室扉付き完全個室型『快眠バス』、ドリームスリーパー。2012年から走らせていた同名のバスをさらに進化させる形で、東京~大阪間・東京~広島間で運行開始しました。

内装はカーペット敷きの床に、扉付きの完全個室。座席は、NASAの理論に基づく、無重力状態を体感できる『ゼログラビティシート』を装備。車内にアロマディフューザープラズマクラスターを設置。照明は調光機能付き。オーディオサービスでは快眠音楽を提供。もはやホテルかと思うかもしれませんが、ネット上の広告では『バスにチェックイン』と表現しており、あながち間違ってもいないのでしょう。

ある時、撮影を終えてクルマで東京に戻る道中、ドリームスリーパーを見つけたので追いかけてみました。時折、自分は等速で走っているのに、前を走るドリームスリーパーが緩やかに近づいてきては、しばらくするとまた遠ざかる・・・。そうか、うるさくならないようにしている!上り坂に入ったところで等速を維持しようとすると、アクセルを強めに踏み込むことになり、エンジン音が大きくなります。流れを乱さない程度に若干の速度変化を許容しつつ、眠っている乗客を起こさないように。各社から選抜された運転士が、ハード面・ソフト面全てのステータスを寝ることに全振りした『快眠バス』を乗客に提供するのです。

安値至上主義から快眠バスへ。100km/hで走るGUSSURIの時代へようこそ。

 

使用機材:Panasonic LUMIX GX7mark2+Panasonic LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.
ソフトフィルター『ケンコー PRO1D プロソフトンA』使用